社畜の積みゲー消化日記

ゲームのクリアレビューブログです。RPGと乙女ゲームメイン。

【ネタバレなし】テイルズオブエターニア クリア感想

エターニアはテイルズシリーズ最高傑作?それとも思い出補正?

PSP移植版テイルズオブエターニアのクリアレビューです。

 

1.はじめに

往年のファンの間で根強い人気を誇る名作エターニア
三十路以上の古のテイルズファンに「シリーズ最高傑作は?」と聞くと大体「デスティニーかエターニアって返ってくる。
デスティニーはリメイクもされてるし、続編も出てるし、リオンは大人気だし何となく納得なんだけど
エターニアはリメイクなし、ハードも初代PSとPSPというレジェンディアの次くらいにプレイハードルが高い。くわえてキャラクターの話もそんなに聞かない。
(強いて言えばファラが人気なくらい?私もマイソロで初めてファラの声を聴いた時は電撃が走った。か、可愛すぎる……。
と、ファラの可愛さは認めるがストーリーについての言及はあまり聞かないし、正直そんなおもろいんか?と長年疑問だった。
なので自分自身でプレイしてエターニアの真髄を確かめようと。
題してエターニアはシリーズ最高傑作?それとも思い出補正?」

 

2.クリア時間

難易度ノーマルで28時間
サブイベはほぼ無視。プレイした隠しダンジョンは闇の洞窟のみ)
ラスボス前パーティレベルは64

 

3.総評

ストーリー ★★★★★
戦闘 ★★★★
キャラ ★★★★★
システム ★★★★★
音楽 ★★★★★
総合評価 ★★★★★

 

4.ストーリー

パーティメンバーはメインキャラ4人、サブキャラ2人の計6人だが、サブキャラ2人はストーリーにほぼ関わってこないため、物語は最初から最後までリッド、ファラ、メルディ、キールの4人を中心に進む。
戦闘もそうなんだけど、とにかく序盤は退屈さを感じさせる展開だった。
世界が大変なことになる!だから何とかしたい!という壮大な目的を掲げているわりに動機が不明な異世界の女の子と、理由もなくその子を助けようとする幼馴染と、その幼馴染のお人好しに付き合わされる、やる気のない主人公
最初の15時間くらいはこれの何がおもろいねんと思わず関西人にならざるをえなかった
けれど中盤以降徐々に明かされていくそれぞれの過去。何故か姿を見せず村にもいないリッドとファラの両親。二人に冷たい態度の村長。再会したキールとのどこかよそよそしい距離感。メルディが世界を救おうと奔走する理由。
最初は必要最低限の情報しか分からず、いまいちキャラクターに感情移入もできなかったが、少しずつ明かされる過去と向き合い、前に進もうとするファラと、保守的で現実主義者のリッドがやがて世界を救わんと行動するようになる姿に、なる程これがエターニアか、と。最初の15時間でゲームを投げ出さなくて良かったと痛感した。
特にあのラスボス戦の演出。
まともに受けたら全滅する攻撃をとあるコマンドを使って相殺するシーン。
あんなの20年前に見せられたらアチアチすぎて、そりゃさすがに「エターニアはいいぞ」botになっちゃうって。
綺麗なグラフィックでも、大どんでん返しがある訳でもない、比較的平坦で王道なストーリーながらも、その見せ方というか、描写の一つ一つが丁寧で徐々に物語に深みが出てくる感じが、他のシリーズにはない味わい深いストーリーに仕上がっていた。

 

5.戦闘

激ムズ。
なんだこれ。めっちゃ死ぬ。道中普通に死ぬ。雑魚敵にもボコボコにされる。フロムゲーか?ってくらい殺される。
初めての2Dテイルズで私が下手なのもあるけど、難易度ノーマルでストーリークリアまでに50回は死んだ気がする。
覚えてるだけでもスカーレットニードル、ウンディーネ、スカーレットニードル、イフリート、スカーレットニードル、レイス、セルシウス、スカーレットニードル、ヴォルト、ジゼル、双六のなんか大量のモンスターに囲まれる升、ヒアデス、レムの横で飛んでる意味わからんくらい邪魔な鉄球……etc
間違いなく今までプレイしたテイルズシリーズで最多のリロード数だった。
今後「テイルズで一番嫌いな雑魚モンスターは?」って聞かれたら間違いなくエターニアのスカーレットニードル」って答える。なんだよあれ。あんなの初見殺しだろ。

とはいえストーリーのボス戦の殆どは難しいけど、決してレベルを上げないとどうにもならない理不尽な難易度ではなかった。
初見は全滅したとしても、装備を整える、ファラとリッドで挟撃、あるいは画面端に追いやってハメる、後衛に攻撃が来ないようリッドの盾でしっかりガードする、放っておくとカカシと化す味方に定期的に指示をするなど、工夫すれば同じレベルでもあっさり勝てることも多々あった。
昨今のゲームなら難易度をイージーに下げれば楽に勝てるんだろうけど、エターニアの難易度はノーマルとハードしかない。(※2周目はハードのさらに上の難易度マニアが追加されるらしい)つまりノーマルが最低難易度。その最低難易度ですら何度もリトライを強いられたのでゲーム下手な私は心が折れそうになった。だけどボス戦はどれも歯応えがあって、終わってみると、戦闘はこれまで自分がプレイしたシリーズの中で一番の達成感が得られた気がする。

 

6.総括

最初に述べた
エターニアはシリーズ最高傑作?それとも思い出補正?」
と言う命題。

プレイした結果私の答えは
「思い出補正は確かにあるだろうが、ストーリー・戦闘ともに20年前の作品とは思えないほど今なお色褪せない作品」だった。
もし当時プレイしていれば、間違いなく私もシリーズ最高傑作だと絶賛していたと思う。
とはいえ、不親切なチュートリアル、微妙なUI、見にくいマップ、ダルすぎる移動、分かりづらい目的地、処理落ち戦闘画面、現代基準では高すぎる難易度、やたらとムズいミニゲーム台パン必至の双六。
令和にやるにはどうしてもレトロゲー感は拭えないが、エターニアがシリーズの基盤を作った革命作品であること、ストーリーや戦闘の楽しさから間違いなく当時の傑作であっただろう片鱗は感じ取れた。
最初の15時間(セレスティアに来てチャットが登場するあたりまで)は正直これのどこがシリーズ最高傑作なんだ?と感じていた。
しかし中盤以降、ストーリー・戦闘共に加速的に面白くなっていった。特に戦闘は技を覚えるごとに中毒性が増し、終盤のレム戦辺りはレベル上げがとにかく楽しかった。
エターニアはいいぞ」と口喧しい古参ファンに思い出補正だと一蹴してやるつもりで(失礼極まりない)プレイしていたはずが、気付いたら仕事中も「早く帰ってリッドの突きレベルを上げなきゃ。やべ、家出る前にPSP充電するの忘れた……」と完全にエターニア脳に。
ユーザーフレンドリーな現代ゲームに慣れ親しんだ身では、今からプレイするには中々億劫かもしれないが、テイルズシリーズに興味があり、まだエターニアをプレイしたことがない人には是非とも手に取ってほしい作品。
ひとまずこれで私も多少は古参ヅラして例のセリフが言える。

 

 

 

 

 

エターニアはいいぞ」

 

【ネタバレ有り】collar×malice(カラマリ) クリア感想

collar×maliceおよび
collar×malice -unlimited- のネタバレ有りクリアレビューです。

※※※主人公に首輪を付けた黒幕についてのネタバレを含みます。
※※※真相について少し辛口批評。

 

 

1.クリア時間

プレイ時間はなんと合計81時間
(内訳:無印46時間、FD35時間)

FDも含めると乙女ゲームにしてはかなりのボリューム
参考までに私がプレイした他のSwitch乙女ゲームのプレイ時間を挙げると
剣が君forSが70時間、ピオフィオーレの晩鐘-ricordo-が50時間、
オランピアソワレが40時間、シャレードマニアクスが40時間なので、
ボリュームはかなりある部類。(まあFD付きなので当たり前ですが…)

 

2.総評

ストーリー ★★★★★
キャラ ★★★★★
システム ★★★★
音楽 ★★★★★
総合評価 ★★★★

後半の酷評の前に初めに言わせてもらいますが
メインキャラ5人のシナリオは文句なしに面白かったです!
初期の頃の某歌の☆王子様で鍛えられた人間なんでご都合主義だの何だのはとやかく言いません。だって乙女ゲームだもの。
ただ、自分の好きなサブキャラの思惑だったり行動理念だったりがちょ~~~っとふわふわしすぎて、もう少し深掘りや裏付けをしっかり練って欲しかったなと思う所存。

 

3.所感

最後までクリアした結果、推しは
冴木>峰岸さん>岡崎≧他4人同列
になった。

でも一番好きなストーリーは白石
好きな悲恋エンドは岡崎
別に梶くんの大ファンという訳ではないけど、岡崎悲恋エンドは「この人ほんっっっと演技上手いな……」と唸らされる演技力だった。
FDは峰岸さんのサイドストーリーが最の高すぎた。

んで、初見から「見た目なら岡崎かな〜」でやり始めて、最終的に攻略対象5人の中ならハイパー思考回路めんどくさ男岡崎が好きだったんだけど、真相ルートでダークホース冴木に全部持ってかれたよね。

榎本ルートで途中から首輪の声が一切反応しなくなったの、疑問に思ってたけど真相知った後だと「はぁ〜なるほど、こりゃ確かに察しの良い人なら気付くわ」と思った。

ちなみにこのトリックに私はまったく気付かなかったんだけど、他に目ぼしい人物が居なかったので、適当に冴木に(完全に濡れ衣を着せるノリで)当たりをつけて友人F氏にLINEをしてたんですが、


まさかの本当に黒幕だったっていうね……。
名推理、出ちゃったな……。
F氏曰く「勘が鋭すぎて誤魔化すのに苦労した」とのこと。
すまん適当こいて……本当にこの時点では一ミリも冴木疑ってなかった……。

 


冴木のせいで仕事に集中できず、勤務時間中にF氏にLINEする私です。

 

4.黒幕の掲げる正義

冴木……好きだ……。(まだ言う)
でも……でもな、冴木。
これだけは言わせてくれ。
他人の痛みなんてものは、所詮他人のものでしかないんだよ……。

瀬良くんに「君の痛みが理解できる」と言ったのは口先だけじゃない、他者の感情に極端に共感する特異体質(劇中で名言されてないけど多分エンパス体質のことだと思う)の冴木は、本当の意味で相手の痛みと同じ分だけの悲しみを知っているんだろうけどさ。それこそ菅原の時のように会ったこともない赤の他人の感情に涙さえ流せるほどに。
でもその痛みをどう昇華するか、あるいはどう抱えて生きていくかは本人が決めることであって、お前の望むがまま決めていいことではないんだよ……。

まあそういう「他人の悲しみに寄り添うフリして(本人は寄り添ってるつもり)銃を握らせ復讐を唆した挙句その人の人生を破壊する」究極エゴイストの権化である冴木というキャラクターがすごく面倒臭くて好きなんだけど、一つだけシナリオに文句をつけるとしたら、冴木の目的というか彼の思想の最終着地点はもう少しはっきりさせたほうが良かったのでは?と思う。

なんというか、痛みの根源を絶ちたいのは分かったんだけど、冴木の思想は結局のところゴールが曖昧すぎるんよ。
市香ちゃんにも指摘されてたけど、誰かの悲しみをなくすために違う誰かを傷つけたところで悲劇の連鎖は終わらないし堂々巡りなんだよね。結局アドニスの執行者がやってることは個人の欲望を満たすこと止まりで、冴木の理想の達成とは結び付かないんだよな〜。だからこそ執行者は「駒」なんだろうけど、じゃあ冴木の悲願成就の正しい工程はどこ?という話。

市香に正論パンチ食らった冴木は「それならそれでいい。誰も悲しまなくなる(どれだけ傷ついても生きていける精神タフネスな人間しか残らなくなる)まで、(殺戮による人類淘汰を)続けるだけだ」って開き直ってたけど、いやいやその理屈だと本来なら(冴木がテロを起こさなければ)傷付かなくて済む人間が余計に傷ついてるし、復讐の連鎖でさらに生まれた多くの悲しみに触れて、その分余計に自分がエンパスで精神ダメージ負ってるんじゃ世話なくないか。と正直思った。

なんかこの辺は冴木の理想と目的の設定が中途半端というか……もうちょっと捻って欲しかった。

例えば某Fate天草四郎みたいに「人類を救済するために、人類全員を物質化させる」くらい思想がぶっ飛んでくれてた方が腑に落ちたのにな。
全人類物質化はカラマリの世界観ではさすがにSFが過ぎるけど、例に出した天草の場合は理想(人類救済)と目的(人類の物質化)がハッキリしてるのに対し、冴木の掲げる理想と目的はすごく曖昧で、FDクリア後もなんだかモヤッとしたな〜。

「勧善懲悪」では片付けられないシナリオにしたかったのかなという意図は何となく汲み取れるんだけど、そこは冴木を半端な善人で終わらせないで、もっとサイコパス思考に極振りしても良かったんじゃないかなと思う。
主人公サイドが掲げる「絶対的な正義」に対して「対立するもう一つの正義」として成り立たせるには冴木の掲げる正義は主張が弱い印象を受けた。
でもそれはそれとして、冴木は間違いなく魅力的なキャラクターだと思うので、本当にこの部分だけは惜しいというか勿体無い。

 

 

5.総括

冴木関連は結構辛口な感想を捲し立てたけど、全体的に見て攻略キャラ5人のシナリオはどれも本当に面白かった。
単純な金太郎飴ストーリーじゃなくて、周回すればするほど真相に近づいていく感じがして、よりストーリーを楽しむ為に攻略制限がうまく機能してたと思う。
最近攻略制限が多用されがちだけど、なーんか制限設けてるわりに真相がそんな大したことないなと思ってしまう乙女ゲームがどうしても多くて……。

カラマリは沢山の人が絶賛するだけのことはあるシナリオ構成だった。普通に今までプレイした乙女ゲーで5本指に入ると思う。
こりゃ次にプレイする乙女ゲームのハードルが上がってまうわ。

 

おまけ

本編クリア後にFDのオープニングに冴木らしき人物を見つけ、思わずN●Kの者になりF氏に鬼LINEする私です。